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子どもがワクワク、ドキドキできる外遊び体験を。日本体育大学野井教授に聞く、子どもにとっての外遊びの重要性

子どもがワクワク、ドキドキできる外遊び体験を。日本体育大学野井教授に聞く、子どもにとっての外遊びの重要性

コロナ禍で家にいる時間が増えたことで、お子さまの運動不足が気になる方も多いのではないでしょうか。昔から「子どもは風の子」という言葉に象徴されるように、子どもは外で元気で遊んだほうがいいと言われています。

子どもが外遊びを好きになるために、親としてはどうすればいいのでしょうか。子どもの発育・発達に詳しい日本体育大学の野井教授に、外遊びの重要性について聞いてみました。

子どもの運動不足は身体だけではなく、“心の発達”にも影響が。

質問者:今コロナ禍で外遊びの機会が減っていますが、子どもの運動不足にはどのようなリスクが考えられるのでしょうか。

教授:子どもの外遊びが減ることによって、発育上様々なリスクがあります。身体が育たない、生活リズムが整わない、食欲がわかない、そして心も育ちにくくなります。

運動だけではなく、体を動かすこと、そのすべてを指す身体活動は、脳の前頭葉(心)の成長に関与しています。ワクワク、ドキドキ、心揺さぶられるような身体活動が大事だというのは、私たちの研究室でデータに表れています。

そうやって考えると、今回のこのコロナ禍での自粛生活は、身体の育ちはもちろん、心の育ちにも心配ですね。外遊びは協調性や社会性の学びの場でもあるんです。

遊びに“伸びしろ”があることで、子どもの発達欲求を叶えます!

質問者:子どものワクワク・ドキドキ体験はどうつくっていくべきでしょうか。親が子どもにどう外遊びをさせていいか分からない、外に連れて行って何をさせればいいのだろうと不安を感じている方もいらっしゃると思います。

教授:なるほど。その辺がまた今っぽいなって思うのですが、「何もしない」っていうのがいいんじゃないでしょうか。

外遊びのバリエーションに悩んでいる親御さんがいらっしゃいますが、必ずしもスポーツや目的がある遊びだけが『外遊び』ということではありません。陽の光を浴びながら、何もせずに外を歩くだけでいい。季節の花を見つけたり、チョウチョなど生き物を追ったり、子どもは自然と遊びを始めます。

そのすべてが外遊びです。親が先回りして、安全性を担保して、遊びも学びもすべてを用意しすぎるのではなく、子どもが遊ぶ“余白”を残すことが大切です。

まずは子どもを外へ誘うこと、そして見守ることが、外遊びの第一歩です。

質問者:ついつい『今日はこれをして遊ぼう』って目的をつくってしまいがちですけど、それが逆に遊びの幅を狭めていると。

教授:もちろんきっかけがないとなかなか外へ出にくいっていうのもあるかもしれません。「バドミントンしに行こうか」ってバドミントンの羽根とラケットを持っていって、結局1回もしなくても、別にいいんじゃないかと思います。

質問者:外遊びが好きじゃない子どももいますが、そういう子どもに対して、なるべく身体を動かしてもらうためのコツはありますか。

教授:最初から外遊びが嫌いな子ってそんなにいないなって思うんですよね。例えば「蟻の巣を掘る」など、外遊びしてるっていう認識がそもそも親にはないかもしれません。そういうのも含めて外遊びなんですよね。外遊びの認識を広げてみてください。

ストライダーは子どもにとっての小さな“目標”になる

質問者:ストライダーは外に遊びに出るひとつのきっかけとなったり、子どもの達成意欲を刺激すると思うのですが、教授からみたストライダーの良さは何ですか?

教授:ストライダーは子どもにとって、頑張ったらできそうな、ちょっと先の“目標”になるのではないでしょうか。簡単すぎるとつまらないですよね。

何回か練習してできるようになると、成功体験を積み、子どもの自信につながります。ストライダーのバランス性や滑走感は、自分の身体だけでは体験することができません。

外遊びの一部には道具を使った遊びも大事です。ストライダーに乗っている子どもの目の輝きを見ると、子どもにとっての発達欲求を満たしているのではないかと感じます。


教授のお話を聞いて、運動に限らず、子どもがワクワク・ドキドキする身体活動が、体と心を育む大切な要素であることが分かりました。

子どもの自主的な遊びを見守りながら、ストライダーを全力で楽しんでいただければと思います!


【プロフィール】
日本体育大学 体育学部 健康学科 教授 野井 真吾

1968年,東京都生まれ。日本体育大学大学院体育科学研究科博士後期課程修了。博士(体育科学)。東京理科大学・専任講師、埼玉大学・准教授、日本体育大学・准教授を経て現職(日本体育大学・教授)。教育生理学、学校保健学、発育発達学、体育学を専門領域として、子どもの“からだ”にこだわった研究を続けている。主な著書に『新版からだの“おかしさ”を科学する』(かもがわ出版)、『子どものからだと心白書』(ブックハウス・エイチディ)、『正しい姿勢で元気な体』(金の星社)、『めざせ!からだはかせ 全4巻』(旬報社)等がある。